次の世代の皇位継承資格者がたったお1方しかおられない。
そのような現実のもとでは、畏れ多いが、ご結婚も至難と
ならざるを得ないだろう。
にも拘らず、危機感が余りにも乏しいのではないか。
勿論、皇室の存続を望まないのであれば、危機感が無くても理解できる。
しかし、そうでないとすれば、どう受け止めたらよいのか。
私は長年、女性天皇・女系天皇を速やかに認める以外に、
皇位継承の安定化、皇室存続への道はない、と訴え続けて来た。
これに反対する人がいるなら、どうか皇位の継承をより安定化させ、
皇室の将来をより安泰たらしめ得る、“具体的な対案”を示してほしい。
その対案が、私の提案より妥当かつ実現可能性が高いのであれば、
直ちに私見を撤回して、そちらの方策の実現に、私も微力を傾けて
協力したい。
ということも、これまで繰り返し述べて来ている。
しかし残念ながら、これまでのところ、そのような対案は示されなかった。
例えば…
〇次代の唯一の皇位継承資格者であられる秋篠宮家のご長男、
悠仁親王殿下が後継者の男子に恵まれられるように、学校も止め、
ご公務もバッサリ削減して、ひたすらそのことに専念して戴く。
→
悠仁殿下の掛け替えのない、たった一度限りの人生を、一体、
何と心得ているのか。
そんな“ブラック”の極致のような所に嫁ごうとする(皇室に相応しい)
女性を期待できるのか。
ひたすら後継者を確保する為“だけ”に存在するイビツで空っぽな
皇室像では、長い歳月をかけて築かれた国民の皇室への敬愛と
信頼の気持ちが損なわれかねない。
〇旧宮家系子孫に男子が生まれたら、本人が拒絶の意思を
示せるようになる前の幼児の時点で、どんどん養子縁組で
皇室に入れてしまう。
→余りにも非人道的な発想に呆れる。
それに同意する親がいるのか。
受け入れる宮家があるのか。
国民がそのような仕打ちを見て、皇室を尊敬できるのか。
〇憲法が禁止する「門地による差別」について無理やり
解釈・運用をねじ曲げて養子縁組プランを押し通す。
→同意する旧宮家系子孫の当事者はいるのか。
受け入れる宮家はあるのか。
そんなことをすれば、皇室があたかも“国民平等”の理念を
傷付ける「差別の元凶」であるかのように、国民から
受け取られかねない。
その上、憲法の権威、信頼性が致命的に失墜する。
〇政略結婚により旧宮家系男性と未婚の女性皇族との
結婚を実現させ、その男子が皇位を継承できるようにする。
→同意する当事者はいるのか。
僅かでも強制の気配があれば、皇室の尊厳が傷付くのではないか。
そもそも、時計の針を逆に回すような時代錯誤なやり方に、
国民が共感できるのか。
…以上は勿論、話にならない。
どうか、上記以外の説得力のある対案を示してほしい。
なお、近年の皇室の出生率は1.2~2(プレジデントオンライン
「高森明勅の皇室ウォッチ」令和5年1月27日公開参照)。
なので、その事実が前提になる。
追記
プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」が4月18日に公開された。
チャールズ英国王の戴冠式に天皇・皇后両陛下の代理として
秋篠宮・同妃両殿下が参列されることに、予想以上の
逆風が吹いている背景について、私なりに分析した。
https://president.jp/articles/-/68673